ストレスコーピングの方法とは?心理学の視点で解説!
こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
今回はストレスコーピングを取り上げます。
ストレス要因に対処する力のことを、
コーピングと言います。
主にメンタルヘルスの分野で語られており、
仕事をする上でコーピングの力は不可欠です。
一切のストレスなく働いている人はいません。
大なり小なり様々なストレスを感じているのです。
とはいえ適度なストレスは、
仕事の生産性を上げたり良い面もあります。
ただし過度なストレスに襲われたり、
長期的にストレスが続く状況だと、
メンタル不調となって現れてしまいます。
そのため正しいコーピングを身につけ、
ストレスに対処する必要があるのです。
最近ではメンタルヘルスの研修や講演会で、
コーピングを扱うものも増えていますし、
私も企業での登壇経験があります。
そして私が開発した独自の心理学理論も、
ストレスコーピングに効果的なのです。
そこで今回は独自の視点から、
ストレスコーピングの方法を解説します。
正しいコーピングの方法をお伝えしつつ、
自分で自分のメンタルを立て直す方法をお伝えします。
コーピングの2つの方法
コーピングには2つの方法があります。
情動焦点型と問題焦点型コーピングであり、
どちらにもメリット・デメリットがあります。
まずは両方のコーピング法について解説します。
情動焦点型コーピング
ストレスで生じた感情に対処するのが、
情動焦点型コーピングです。
仕事が大変でイライラしていたり、
職場の人間関係で悲しかったりと、
主にネガティブな感情に対処する方法です。
具体的には以下のコーピングがあります。
「仕事のイライラをお酒を飲んで発散した」
「職場の人間関係に悩んでいるので、気晴らしにショッピングへ出かけた」
「ミスをしてショックな気持ちを友人に吐き出した」
「気分転換」や「ストレス発散」の様に、
まずはネガティブな感情に対処することで、
気持ちを落ち着けようとしています。
いつまでもネガティブな感情を引きずらずに済み、
前向きな気持ちが持てるかもしれません。
問題焦点型コーピング
先ほどの情動焦点型コーピングは、
ストレスで生じた感情に対処しました。
一方でストレス要因に対処するのが、
問題焦点型コーピングです。
「仕事でイライラしたのはなぜか?」
「なぜ職場の人間関係に悩んでいるのか?」
「ミスをしてしまったのはなぜか?」
この様に問題の原因を掘り下げながら、
解決策を導き出すのが問題焦点型コーピングです。
同じ問題が発生しない様にできますし、
周囲に改善策を提案したりと、
具体的な対策が取れることもあります。
どちらが良いの?
情動焦点型コーピングと問題焦点型コーピング。
一体どちらがストレスコーピングに良いのか?
結論からお伝えすると、
ストレスを抱え込まず理想の成果を出すには、
問題焦点型コーピングが不可欠です。
確かに情動焦点型コーピングをすれば、
一時的にネガティブな感情は忘れられます。
ですがストレス発散の行動を取っても、
ストレスの原因に向き合えていません。
たとえばお酒を飲んで仕事のイライラを発散しても、
イライラした原因に対処できていないのです。
これでは再びイライラしますし、
イライラする度にお酒を飲むのを繰り返すでしょう。
マイナスとゼロを往復する様なもので、
いつまでも前に進まないのです。
ただし情動焦点型コーピングを全否定するつもりはありません。
ストレスの原因に向き合おうと思っても、
精神的に苦しくてそれどころではないかもしれません。
まずは情動焦点型コーピングで気持ちを落ち着かせ、
その上でストレス原因に向き合う問題焦点型コーピングを実施するのです。
独自のコーピング法2ステップ
ここからは具体的に、
ストレスコーピングの方法を解説します。
私が独自に開発した心理理論をもとにしており、
企業での研修や講演会でもお伝えしている内容です。
2ステップを繰り返し実践することで、
ストレスに上手く対処しながら働ける様になります。
自分で自分の気持ちを声に出す
まず最初の方法が、
自分で自分の気持ちを声に出すこと。
「つらいな…」
「仕事でショックなことがあったな…」
「なかなか上手くいかないな…」
どんな気持ちでも構いません。
独り言でOKですので、
考えていることをブツブツ声に出してください。
上手くいかず悩んでいたり、
ストレスによって苦しんでいる時は、
自分の気持ちを声に出していません。
声に出さず、頭の中で考えを巡らせているのです。
私たち人間の脳は頭の中で考えるほど、
ネガティブ思考が増大する習性があります。
一説には1日に考える事柄の9割が、
ネガティブな内容だと言われています。
ネガティブ思考をするほど、
ますます苦しくなります。
声に出す中で次第に冷静になれるので、
情動焦点型コーピングの側面もあるのです。
ここでのポイントは、
「まず自分で声に出すこと」です。
いきなり誰かに吐き出さないでください。
誰かに自分の気持ちを吐き出せば、
一時的にはスッキリするでしょう。
ですが話を聞かされた相手は、
決して良い気分はしません。
「こっちまで苦しくなってきた…」
「また同じ話だよ…」
相手にネガティブな感情が移るので、
人間関係が悪化する可能性もあるのです。
最新刊『声に出すだけでモヤモヤがスッキリする本』では、
心の便秘という言葉を使いながら、
声に出さないことの悪影響を解説しています。
そして声に出しながら、
悩みの原因を振り返っていきましょう。
「仕事でイライラしたのはなぜか?」
「なぜ職場の人間関係に悩んでいるのか?」
「ミスをしてしまったのはなぜか?」
この様に問題の原因を掘り下げて、
問題焦点型コーピングへ移行しましょう。
「どうしたいのか?」と問いかける
そして自分の気持ちを声に出した後は、
「どうしたいのか?」と問いかけます。
「どうしたいのか?」の主語は自分自身。
無料メール講座でも解説していますが、
仕事で悩みを解決するためには、
自分を主語に問いかけることが不可欠です。
問題焦点型コーピングにおいて、
「どうしたいのか?」という問いかけは必須なのです。
ストレスに悩んでいたり、
ネガティブな気持ちになっている時ほど、
自分を主語に問いかけていません。
自分以外の周りのことを考え始めます。
「した方がいい」
「するべきだ」
「しなければいけない」
「して欲しい」
「してあげる」
たとえばこれらの言葉は、
自分以外の誰かのことを先に考えています。
どれだけ相手のことを考えても、
相手の気持ちはわかりません。
正解のわからない問題を解いている様なもので、
結論が出ず周りに振り回されてしまうのです。
また「どうすればいいのか?」と考えるのも、
悩みがちな人の傾向です。
「私はどうすればいいの?」という様に、
周りに答えを求めてしまうので、
自分で状況を抜け出せず苦しんでしまいます。
「どうしたいのか?」という問いかけは、
主体的に行動し解決策を導く上で不可欠です。
大事なのは「習慣化」です
ここまで解説した2ステップを実践することで、
適切にストレスコーピングができます。
ネガティブな感情を発散するだけでなく、
悩みの原因にもアプローチしながら、
ストレスを溜め込まず働ける様になるのです。
そして大事なのは「習慣化」
一度や二度やってみるのではなく、
繰り返し実践する中で定着させる必要があるのです。
今回お伝えしたストレスコーピングについて、
事例や背景を交えながらお伝えしています。
研修の実施を検討されている場合、
もしストレスコーピングの研修で悩んでいたり、
メンタルヘルスの研修について検討している様でしたら、
お気軽にご相談いただけたらと思います。
また私は『人事担当者のためのメンタル支援ハンドブック』を制作しました。
こちらはメンタルヘルスの内容で、
ストレスコーピングの方法も具体的に解説しています。
私が企業研修でお伝えしている内容を、
包み隠さず公開しています。
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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。