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コラム

 あなたのその悩み、自信のなさが原因です

積極性がない部下と上司のあなたの間に起こっていること




こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。

 

今回は経営者や管理職など上司の方から、

よく相談が寄せられるテーマです。

 

「部下が仕事に積極的でない」

「どうすれば部下の姿勢が変わるのかがわからない」

 

積極性が欠けた部下がいれば、

仕事の進め具合にも影響が出ますし、

周囲にもネガティブな影響が及びます。

 

何度指摘しても改善が見られず、

困り果ててしまう上司も多いのです。

 

私はこれまで5000名以上のお客様の相談に乗りましたが、

今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、

積極性がない部下とあなたの間で何が起こっているかを解説します。




なぜ部下の積極性がないのか?

 

部下の積極性がないのは、

3つの原因があります。

 

どれか1つに該当することもあれば、

すべてに当てはまることもあります。

 

失敗を恐れている

心理学の「プロスペクト理論」が、

部下の積極性に影響を与えている可能性があります。

 

=====

人は新しい物を手にするメリットよりも、

既存の物を失うデメリットの方が大きく感じ、

損失を避ける傾向がある。

=====

 

これがプロスペクト理論です。

 

そして一般に手にするメリットよりも、

失うデメリットを2倍大きく考えてしまうと言われています。

 

積極的に仕事をすることで、

能力が上がったり周囲から評価されるかもしれない。

 

一方で積極的に仕事をした結果ミスをしたら、

周囲からの評価が下がったり自身が落ち込んでしまうかもしれない。

 

リスクを恐れる気持ちが2倍強いため、

積極性なく現状維持で働くのを続けてしまいます。

 

失敗しなければ評価は短期的な評価は下がりません。

 

ですが長期的には仕事が上達しないので評価は下がります。

 

頭ではわかっていながらも、

目先のリスク回避をしてしまうのです。

 

頑張っても評価されない

結局は年功序列か…
思ったほど評価されていないな…

 

頑張っても見合った評価がされなければ、

やる気を失ってしまいます。

 

積極的に仕事をしてもしなくても、

大きく現状は変わらないと思っているのです。

 

これは職場の規模や風土も影響しています。

 

また仕事を頑張っても、

上司が手柄を横取りしてしまう様な場合も、

部下の積極性はなくなってしまいます。

 

周りの目を気にしている

怒られたらどうしよう…
変な風に思われたらどうしよう…
反論されたらどうしよう…

 

この様に周りの目を気にする部下は、

仕事への積極性がなくなってしまいます。

 

自分の意見を飲み込んだり、

周囲の意見に同調しやすくなります。

 

大きなミスはしないかもしれませんが、

その分だけ大きなプラスも生み出しません。

 

当たり障りなく、淡々と働いているのです。

 

ちなみに周りの目を気にする部下は、

今までの人生でも周りを気にしています。

 

先生や友達や恋人にどう見られるかを気にして、

受け身で人間関係を築いているかもしれません。

 

上司の姿勢が部下の積極性を奪うことも!

ここまで部下の原因を解説しましたが、

部下の積極性がない背景には、

上司の心理が影響を与えることも多いのです。

 

心理学ではゴーレム効果と呼ばれていますが、

上司が部下への期待値が低くなるほど、部下は実際に業績を下げてしまいます。

 

何度指導しても改善しない部下には、

ついネガティブな見方をしてしまいます。

 

積極的に仕事をしないな
使えないな
こんなこともできないのか

 

こうした気持ちが心の中で渦巻くほど、

無意識のうちに態度や言動にも現れてしまうのです。

 

積極性がない部下への期待値が低くなり、

結果的に部下は低い期待値の状態を実現しようとしてしまうのです。

 

もちろん部下にも原因はありますが、

上司の意識が部下の現状を作り出してしまうこともあるのです。

 

積極性のない部下を作り出す構造

「自分が既に持っている考え方を肯定するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めようとする傾向のこと」

 

これは心理学で、確証バイアスと呼ばれています。

 

実はこの確証バイアスが、

積極性のない部下とあなたの関係性を作り上げてしまっています。

 

先ほどゴーレム効果の話をしましたが、

上司は部下のことを「積極性がない」とネガティブに捉えるでしょう。

 

この認識を肯定するための情報を集めようと、

上司の部下に対する見方が偏ってしまうのです。

 

たとえば非常に些細なことで、

他の部下なら気に留めないことでも、

「この部下だから積極性がない」と思い込みやすくなるのです。

 

あるいは普段の同僚との会話においても、

「あの部下は積極性がないからな」と話し、

周囲から共感や同意を得ようとすることもあります。

 

結果として、積極性がないという認識を強めてしまうのです。

 

一方で上司の態度や振る舞いを見た部下も、

「自分は期待されていないのか…」と落ち込みます。

 

あるいは上司に反発して、

積極性がないまま態度を硬化させてしまうこともあります。

 

つまり上司と部下それぞれが、

現状認識を強める行動を無意識のうちに行ってしまうのです。

 

上司が「積極性がない」と部下に感じる状況が、

ますます強まってしまうのです。

 

どうすれば現状を変えられるのか?

「では一体、どうすれば現状を変えられるのか?」

 

1つ大事なことは、

変えられるものと変えられないものを切り分けて考えることです。

 

どれだけ相手を変えようとしても、

相手のことを変えることはできません。

 

相手を思い通りに動かせていれば、

現時点で部下の積極性に改善が見られているはずです。

 

「相手は変えられず、変えられるのは自分だけ」

 

この考え方は心理学では主流であり、

『嫌われる勇気』が流行した心理学者のアドラーも、

課題の介入という形でこの考え方を説明しています。

 

つまり部下の積極性がない状況も、

自分自身が変わることで好転する可能性があるのです。

 

そもそも上司も今まで、

部下を変えようと努力してきたわけです。

 

それでも変わらないということは、

部下ではなく自分を変えることに意識を向けるタイミングと言えます。

 

自分の在り方が変われば、

部下に見せる態度も変わります。

 

そんな自分の態度を見て、

部下の態度にも変化が生まれる可能性があるのです。

 

「では具体的にどうすれば、自分の在り方を変えられるのか?」

 

方法を解説します。

 

部下の積極性を評価していると伝える

先ほどゴーレム効果の話をしましたが、

実は真逆のピグマリオン効果という現象もあります。

 

人は期待されていると言われるほど期待に応えようとします。

 

「あなたに期待している」と言葉で伝えることで、

「期待されているんだから頑張ろう」と前向きになるのです。

 

部下の積極性を高めたいと思っているなら、

「部下が積極的だ」ということを直接伝えれば良いのです。

 

あるいは同僚と話す中でも、

「あの部下は積極的に仕事をしている」と何かにつけて伝えるのです。

 

もちろん何の根拠もなく、

部下の積極性を褒めることはできないかもしれません。

 

どれだけ積極性がないと思う部下にも、

必ず良い点はあります。

 

部下の良い点を振り返り、

その点において積極的だと伝えるのです。

 

「遅刻早退なく働き続けていて、仕事への積極性を感じる」

 

言葉にすると当たり前の様に思えても、

部下の積極性を褒めることはできます。

 

「積極性がない」というレッテルを貼ってきた分だけ、

「積極性がある」と何度も伝え続けることで、

部下は積極性のある姿勢に変わろうと思いやすいのです。

 

部下の良いところを50個書き出す

先ほど紹介した方法は非常に効果的ですが、

「自分が取り組むにはハードルが高い」という声も聞きます。

 

部下の積極的なところが浮かばないと思ったり、

どうしてもネガティブな側面を思い出したりと、

途中で挫折してしまう人もいます。

 

先ほど確証バイアスの話をしましたが、

積極性が感じられない部下に対しては、

どうしてもネガティブな目線で見がちになります。

 

偏った見方をしてしまっている状態のため、

バランスをとって見ていく必要があります。

 

そこでオススメの方法が、

部下の良いところを書き出すこと。

 

どれだけ積極性がないと思う部下にも、

必ず良い点はあると先ほど伝えました。

 

部下の良い点を振り返り、

その点において積極的だと伝えるためにも、

まずは部下の良いところを箇条書きでリストアップしてください。

 

・真面目に仕事に取り組むところ

・その都度確実に報告へ来てくれるところ

・言われたことは確実にこなすこと

 

どんなことを書いても大丈夫ですので、

部下の良いところに意識を向けましょう。

ポイントは「数を出すこと」

 

1つ2つ良いところを書くだけでは、

すぐに今までの認識に引き戻されてしまいます。

 

「いやでも新規案件には消極的だしな」

「仕事のスキルは低いからな」

 

この様にネガティブな偏見が蘇ってくるのです。

 

だからこそ、些細なことも含めて数を出すことです。

 

ここに状況は異なりますが、

50個以上は書き出すことで部下への見方が変わります。

 

ネガティブな見方に偏ることなく、

バランスの取れた状態で見れる様になります。

 

そして書き出した内容は定期的に見返すことで、

部下にネガティブな気持ちが強まらない様に工夫していきましょう。

 

大事なのは「習慣化」です

ここまでお伝えした方法を実践することで、

積極性がない部下の姿勢は変えられます。

 

そして何より大事なのが「習慣化」

 

一度だけ実践しても状況は変わりません。

 

部下の背極性がなくなってしまったのは、

これまでの関わり方が習慣になっているからです。

 

今までの悪い習慣を改め、

部下が積極的に働く習慣に変えていく必要があります。

 

ただし多くの人が行動を習慣化できず悩んでいます。

 

先ほどお伝えした方法を実践しようと思っても、

気づけば以前までの習慣に戻ってしまうのです。

 

「人はその日に学んだことの7割を忘れる」

 

これは私たち人間の記憶のメカニズムで、

エビングハウスの忘却曲線で証明されています。

 

だからこそ忘れにくくするためにも、

毎日意識しながら実践する必要があります。

 

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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!






部下との相性診断

このコラムの執筆者

伊庭 和高

伊庭 和高(いば かずたか)

千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。

卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。

2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。

「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。

また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。

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