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コラム

 あなたのその悩み、自信のなさが原因です

何度指導しても同じミスをする部下とあなたに起こっていること




こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。

 

今回は経営者や管理職など上司の方から、

よく相談が寄せられるテーマです。

 

「何度指導しても同じミスをする」

「どうして同じミスを繰り返すのかわからない」

 

その都度ミスを指摘するのも時間が取られますし、

「こんなこともできないのか?」と苛立つこともあるでしょう。

 

仕事にも影響が出てしまいますし、

何度も指摘するのにもパワーを使います。

 

私はこれまで5000名以上のお客様の相談に乗りましたが、

今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、

何度指導しても同じミスをする部下の心理背景を解説します。

 

何度指導しても同じミスをする部下の心理

どうして同じミスをするのか…
また上司に怒られた…
報告に行くのが怖いな…

 

何度指導しても同じミスをする部下は、

心の中でこの様な気持ちを抱いています。

 

ネガティブ思考が充満してしまっている状態です。

 

もちろん中には、「上司が悪いんだ」と反発心を持つ部下もいるでしょう。

 

ですが多くの場合、ミスを何度もしてしまい部下は自信を失っています。

 

結果的に自分で自分を責める心理が目立つ様になるのです。

 

上司の心理背景が部下のミスを引き起こしている

そして多くの場合、何度も同じミスをする部下に原因を求めがちです。

 

ですが部下が同じミスを繰り返す背景には、

上司の心理が影響を与えることも多いのです。

 

心理学ではゴーレム効果と呼ばれていますが、

上司が部下への期待値が低くなるほど、部下は実際に業績を下げてしまいます。

 

何度指導しても同じミスをしてしまう部下には、

ついネガティブな見方をしてしまいます。

 

大きな仕事は任せられないな
使えないな
こんなこともできないのか

 

こうした気持ちが心の中で渦巻くほど、

無意識のうちに態度や言動にも現れてしまうのです。

 

同じミスを繰り返す部下への期待値が低くなり、

結果的に部下は低い期待値の状態を実現しようとしてしまうのです。

 

もちろん部下にも原因はありますが、

上司の意識が部下の現状を作り出してしまうこともあるのです。




同じミスをする部下を作り出す構造

「自分が既に持っている考え方を肯定するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めようとする傾向のこと」

 

これは心理学で、確証バイアスと呼ばれています。

 

実はこの確証バイアスが、

同じミスを繰り返す部下とあなたの関係性を作り上げてしまっています。

 

同じミスをする部下のことを、

「仕事ができない部下」という様にネガティブに捉えるでしょう。

 

「同じミスをする=できない部下」

 

この認識を肯定するための情報を集めようと、

上司の部下に対する見方が偏ってしまうのです。

 

たとえば非常に些細なことで、

他の部下なら指摘をしないことでも、

「この部下だからミスをした」と思い込み指摘をしてしまうのです。

 

あるいは普段の同僚との会話においても、

「あの部下は同じミスをするからな」と話し、

周囲から共感や同意を得ようとすることもあります。

 

結果として、部下へダメ出しをする機会が増えてしまいます。

一方で上司の指摘を受けた部下も、

「またミスをしてしまった」と落ち込みます。

 

「自分は同じミスを繰り返すんだ」という認識を、

自分自身に刷り込ませてしまうのです。

 

結果として些細なことであっても、

「またミスをした」と必要以上に抱え込んでしまいます。

 

あるいは上司へ報告に行く時も、

本来報告しなくても良いミスした報告も一緒に行い、

「だからダメなんだ」と指摘を受ける状況を作り出してしまいます。

 

「自分は何度もミスをする人だ」というレッテルを、

部下自身が貼ってしまうのです。

 

つまり「何度指導しても同じミスをする」という認識を、

上司と部下それぞれが持ってしまい、

この認識を強めるための行動を無意識のうちに行ってしまうのです。

 

このままだと部下はどうなるか?

もしここまでの関係が繰り返されれば、

次第に部下のメンタルに悪影響が出ます。

 

仕事中に上司の顔色を伺いすぎたり、

萎縮して上手く仕事が進められなかったり、

仕事へ行くのもつらくなってしまいます。

 

最悪の場合、休職や退職につながってしまうのです。

 

同じミスを繰り返す部下の様子を見て、

もちろん上司もつらい気持ちはあるでしょう。

 

ですが部下も現状につらい想いを抱いていて、

必要以上に抱え込んでいる可能性があるのです。

 

どうすれば現状を変えられるのか?

「では一体、どうすれば現状を変えられるのか?」

 

1つ大事なことは、

変えられるものと変えられないものを切り分けて考えることです。

 

どれだけ相手を変えようとしても、

相手のことを変えることはできません。

 

相手を思い通りに動かせていれば、

現時点で部下は同じミスを繰り返さなくなっています。

 

「相手は変えられず、変えられるのは自分だけ」

 

この考え方は心理学では主流であり、

『嫌われる勇気』が流行した心理学者のアドラーも、

課題の介入という形でこの考え方を説明しています。

 

つまり何度指導しても同じミスをする状況も、

自分自身が変わることで好転する可能性があるのです。

 

そもそも同じミスを何度も指摘するということは、

部下を変えようと今まで努力してきたわけです。

 

それでも変わらないということは、

部下ではなく自分を変えることに意識を向けるタイミングと言えます。

 

自分の在り方が変われば、

部下に見せる態度も変わります。

 

そんな自分の態度を見て、

部下の態度にも変化が生まれる可能性があるのです。

 

「では具体的にどうすれば、自分の在り方を変えられるのか?」

 

方法を解説します。

 

部下の良いところを50個書き出す

先ほど確証バイアスの話をしましたが、

同じミスを繰り返す部下に対しては、

どうしてもネガティブな目線で見がちになります。

 

偏った見方をしてしまっている状態のため、

バランスをとって見ていく必要があります。

 

そこでオススメの方法が、

部下の良いところを書き出すこと。

 

同じミスを繰り返す部下に対して、

良いところを箇条書きでリストアップしてください。

 

・真面目に仕事に取り組むところ

・遅刻早退なく勤務できているところ

・その都度確実に報告へ来てくれるところ

 

どんなことを書いても大丈夫ですので、

部下の良いところに意識を向けましょう。

 

ポイントは「数を出すこと」

 

1つ2つ良いところを書くだけでは、

すぐに今までの認識に引き戻されてしまいます。

 

いやでも同じミスをするしな
いや仕事できないからな

 

この様にネガティブな偏見が蘇ってくるのです。

 

だからこそ、些細なことでも良いので数を出すことです。

 

個々に状況は異なりますが、

50個以上は書き出すことで部下への見方が変わります。

 

ネガティブな見方に偏ることなく、

バランスの取れた状態で見れる様になります。

 

そして書き出した内容は定期的に見返すことで、

部下にネガティブな気持ちが強まらない様に工夫していきましょう。

 

サンドイッチパターンで指摘をする

先ほど紹介した方法は非常に効果的ですが、

「自分が取り組むにはハードルが高い」という声も聞きます。

 

「50個出てこない!」と悩む人もいれば、

どうしてもネガティブな側面を思い出しペンが止まり、

途中で挫折してしまう人もいます。

 

そんな時には、次の方法を試してみてください。

 

コミュニケーションの技術の1つに、

サンドイッチパターンというものがあります。

 

まず褒める

次に指摘する

最後に前向きな言葉で締める

 

この順番で部下に指摘をすることで、

部下も前向きに受け止めやすくなるのです。

 

いきなりダメ出しをしてしまうのは、

多くの上司がやりがちです。

 

これでは部下も落ち込んでしまいますし、

根本的に状況は変わりません。

 

サンドイッチの間にはさむ具のイメージで、

指摘を褒めたり前向きな言葉の間に行うのです。

 

「仕事が早くて良いね」

「丁寧にやってくれてありがたいよ」

「この箇所はミスをしているし、以前も指摘をしたと思うので、今後は少し時間をかけても良いから確認をよろしくね」

「この調子で頑張っていこう」

「いつもありがとう」

 

たとえばこの様なイメージで会話することで、

部下も必要以上に落ち込まず指摘を受け止めてくれます。

 

褒める言葉が思い浮かばない時は、

日頃の感謝の気持ちを伝えることでも効果を実感できます。

 

サインドイッチパターンを意識することで、

部下が必要以上に落ち込み悩むこともなくなるので、

同じミスをする状況も変えていけます。

 

大事なのは「習慣化」

ここまでお伝えした方法を実践することで、

部下が同じミスを繰り返す状況は変えられます。

 

そして何より大事なのが「習慣化」

 

一度だけ実践しても状況は変わりません。

 

部下が同じミスを繰り返す状況は、

これまでの関わり方が習慣になっているからです。

 

今までの悪い習慣を改め、

部下が同じミスをしない習慣に変えていく必要があります。

 

ただし多くの人が行動を習慣化できず悩んでいます。

 

先ほどお伝えした方法を実践しようと思っても、

気づけば以前までの習慣に戻ってしまうのです。

 

「人はその日に学んだことの7割を忘れる」

 

これは私たち人間の記憶のメカニズムで、

エビングハウスの忘却曲線で証明されています。

 

だからこそ忘れにくくするためにも、

毎日意識しながら実践する必要があります。

 

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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!






部下との相性診断

このコラムの執筆者

伊庭 和高

伊庭 和高(いば かずたか)

千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。

卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。

2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。

「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。

また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。

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