仕事ができると勘違いしている部下の心理
こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
今回は経営者や管理職など上司の方から、
よく相談が寄せられるテーマです。
「仕事ができると勘違いしている部下がいる」
「どう指導して良いかわからない」
部下と上司の間で認識に違いがあると、
仕事を進める上でも支障が出てしまいます。
これはダニングクルーガー効果と呼ばれ、
上司からの実際の評価と自己評価を正しく認識できず、
誤った認識で自分を過大評価してしまう現象です。
もちろん仕事を振らない様にするのも1つですが、
部下は仕事ができると思い込んでいるので、
不満を抱えたり周囲に悪影響を与えるのです。
私はこれまで5000名以上のお客様の相談に乗りましたが、
今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、
仕事ができると勘違いしている部下の心理背景を解説します。
仕事ができると勘違いしている部下の心理
仕事ができると勘違いする部下は、
大きく3つの心理を抱いています。
どれか1つに当てはまることもあれば、
複数に該当することもあります。
自分の能力を過信している
仕事ができると思い込んでいるのは、
自分の能力を過信しているからです。
これは決して仕事だけに限らず、
今までの人生でも形を変えて繰り返しています。
勉強ができると過信したり、
スポーツができると過信したり、
異性にモテると過信したりと、
過信するのが癖になっているのです。
自分自身に甘いとも言えますし、
周囲がダメ出しをして来なければ、
ますます過信癖に拍車がかかるのです。
比較対象が低い
仕事ができるかどうかを、
周囲と比較して思い込む部下もいます。
もし比較対象が低ければ、
その分だけ仕事が低いと思い込みます。
何年も働いてきたのに、
なぜか新人を比較対象にする人もいます。
あるいは窓際族の年配社員と比較し、
自分は仕事ができると思い込む人もいます。
「仕事ができない」と思うよりは、
「仕事ができる」と思った方が気分も良いです。
結果的に比較対象を低くすることで、
仕事ができる思い込みを強くしてしまうのです。
間違ったポジティブ思考
何でもポジティブ思考をする癖がある部下ほど、
仕事ができると思い込みやすいです。
一時期ポジティブ思考が流行りましたが、
たとえミスをしてもポジティブ思考をしたり、
能力が低くてもポジティブ思考をする人もいます。
「自分は仕事ができる」と暗示をかけることで、
実際に仕事ができる自分を作ろうと考える人もいるのです。
そのため周囲に何をどう思われても、
「自分は仕事ができる」と思い込み続けます。
確かに心理学においては、
なりたい自分を言葉に出して思い込むほど、
実際になりたい自分に近づきやすいという考え方もあります。
これはアファメーションと呼ばれ、
実際に効果を感じている人もいます。
ですが間違った方法をしてしまえば、
アファメーションも効果がありません。
具体的な仕事の取り組みに反映されず、
単に仕事ができると思い込んでいるのは、
間違ったアファメーションのやり方なのです。
どうすれば部下を変えられるのか?
ここまで部下の心理背景を解説しました。
「では一体、どうすれば現状を変えられるのか?」
1つ大事なことは、
変えられるものと変えられないものを切り分けて考えることです。
どれだけ相手を変えようとしても、
相手のことを変えることはできません。
相手を思い通りに動かせていれば、
そもそも現時点で部下の勘違いは改善されているはずです。
「相手は変えられず、変えられるのは自分だけ」
この考え方は心理学では主流であり、
『嫌われる勇気』が流行した心理学者のアドラーも、
課題の介入という形でこの考え方を説明しています。
つまり部下が仕事ができると勘違いする状況も、
自分自身が変わることで好転する可能性があるのです。
自分の在り方が変われば、
部下への振る舞いも変わります。
そんな自分の振る舞いを見て、
部下の態度にも変化が生まれる可能性があるのです。
「では具体的にどうすれば、自分の在り方を変えられるのか?」
方法を解説します。
具体的に指摘する
部下にハッキリ具体的に指摘をしなければ、
仕事ができると勘違いをさせてしまうのです。
「この仕事がこれだけできればOK」
「もしできなければ現時点では能力不足」
この様に、何を持って仕事ができると判断するか、
具体的な基準を示してあげるのです。
あるいは良い点と改善点を、
それぞれ具体的に伝えるのも効果的です。
「この点は良いね」
「でもここは改善点です」
具体的に伝えるからこそ、
部下も現状を認識できます。
何が良くて何がダメかを曖昧にしてしまうと、
部下は勘違いをするでしょう。
「何を持って仕事ができると言えるのか?」
現時点の部下の年次や境遇を踏まえ、
明確に伝えることが必要です。
サンドイッチパターンで指摘をする
先ほど紹介した方法は非常に効果的ですが、
「どうやってやれば良いのか?」という声も多いです。
勘違いをしている部下を日々見ていると、
部下に対する怒りや諦めの気持ちが出てきて、
どうしてもネガティブな目線で見やすくなります。
そんな時には、次の方法を試してみてください。
コミュニケーションの技術の1つに、
サンドイッチパターンというものがあります。
まず褒める
↓
次に指摘する
↓
最後に前向きな言葉で締める
この順番で部下に指摘をすることで、
部下も前向きに受け止めやすくなるのです。
いきなりダメ出しをしてしまうのは、
多くの上司がやりがちです。
これでは部下も落ち込んでしまったり、
「そんなことない」と反発してしまうので、
根本的に状況は変わりません。
サンドイッチの間にはさむ具のイメージで、
指摘を褒めたり前向きな言葉の間に行うのです。
「仕事が早くて良いね」
「スピード感を持って仕事ができているのは評価しているよ。」
↓
「でもこの箇所はミスをしているし、以前も指摘をしたと思うので、今後は少し時間をかけても良いから確認をよろしくね」
↓
「この調子で頑張っていこう」
「いつもありがとう」
たとえばこの様なイメージで会話することで、
部下も素直に指摘を受け止めてくれます。
部下にネガティブな気持ちを抱いていても、
良い点や褒められる点は1つはあるはずです。
どうしても褒める言葉が思い浮かばない時は、
日頃の感謝の気持ちを伝えることでも効果を実感できます。
サインドイッチパターンを意識することで、
部下が自身の現状を受け止めやすくなるので、
仕事ができると間違する状況が好転し始めます。
大事なのは「習慣化」
ここまでお伝えした方法を実践することで、
部下が仕事ができると勘違いする状況は変えられます。
そして何より大事なのが「習慣化」
一度だけ実践しても状況は変わりません。
部下が勘違いをしている状況は、
これまでの関わり方が習慣になっているからです。
今までの悪い習慣を改め、
部下が勘違いをしない習慣に変えていく必要があります。
ただし多くの人が行動を習慣化できず悩んでいます。
先ほどお伝えした方法を実践しようと思っても、
気づけば以前までの習慣に戻ってしまうのです。
「人はその日に学んだことの7割を忘れる」
これは私たち人間の記憶のメカニズムで、
エビングハウスの忘却曲線で証明されています。
だからこそ忘れにくくするためにも、
毎日意識しながら実践する必要があります。
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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
なお仕事ができると勘違いしている部下の様に、
部下との関わりに悩む上司が絶対知っておくべき心理背景も以下でまとめています。
◯:部下との関わりに悩む上司が絶対知っておくべき心理背景
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。