心を閉ざした部下の3つの特徴!原因は自信のなさ。どう接したらいい?
こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
「部下が心を閉ざしている」
「どうすれば良いのかわからない」
業種や規模を問わず多くの会社において、
経営者や管理職など上司の方が直面する悩みです。
入社直後から心を閉ざす部下もいますが、
以前は元気に働いていたのに急に心を閉ざしてしまう部下もいます。
「一体どうすれば良いのか?」とパニックになってしまうこともあります。
「このままだと部下が潰れてしまうのでは?」
「休職や退職をされたらどうしよう?」
「何とか持ち直して欲しい」
こうした気持ちに悩まされる状況は、
できる限り早く抜け出したと思います。
私はこれまで5000名以上のお客様の相談に乗りましたが、
今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、
心を閉ざした部下に何が起きているのかを解説します。
部下が心を閉ざした状態とは?
「部下が心を閉ざすとは、一体どの様な状態なのか?」
まずは心理学の視点から解説します。
言動、態度、雰囲気、仕事ぶり等、
心を閉ざしてしまうことで生まれる変化には共通点があります。
これから共通点を、
「マネージャーから見た部下の心理的閉塞度チェック」という形で紹介します。
「自分の部下には当てはまっているだろうか?」と考えながら、
当てはまる項目をチェックしてみてください。
部下の心理的閉塞度チェック
◯上司の目を見ない
◯上司に挨拶をしない(形だけの挨拶になっている)
◯言う必要のあることも直接言わない
◯上司の存在を無視する
◯仕事が「言われたことを最低限やるだけ」になっている
◯仕事が「無責任だ」と感じることが増える
◯元気がない
◯感情の起伏がなくずっとどん底
◯飲み会や社内イベントに参加しない
◯周りと関わろうとしない(距離を置き出す)
◯反論しなくなる(それでいいんじゃないですか、といった反応を終始する)
ここまで紹介した項目の中で、
「部下に当てはまるな」と思ったものはいくつあったでしょうか?
どれだけ心を閉ざしていても、
その兆候を必ず周りに発しています。
「そういえば、あれも…これも…」という様に、
心を閉ざす兆候を複数発しているかもしれません。
心を閉ざした部下の本心
部下が心を閉ざしている様子は判断できても、
心の中で何を考えているのかがわからず悩んでいる人は多いです。
相手の心の中がわからなければ、
どんな対策を講じて良いかも検討がつきません。
ですが心を閉ざした部下が何を考えているのかも、
いくつかの共通点があります。
これらは心を閉ざす部下が心の中で思っていることの一例です。
こうした気持ちを抱く背景は後述しますが、
いずれもネガティブな気持ちであることは共通しています。
「話してくれればいいのに!」と思うのは、
経営者や管理職など上司の思考です。
もしかしたら以前に相談したものの、
満足できる対応をしてくれなかったと部下が感じているかもしれません。
「もう話しても無駄だから」と思う様になり、
心を閉ざしてしまったのです。
あるいはそもそも相談せず、
自分の中でこじらせてしまう部下もいます。
一度心を閉ざすと心を閉ざし続ける
心理学にはカラーバス効果という理論があります。
私たち人間はある物事に意識を向けると、
それに関連する情報が目に留まりやすくなるという理論です。
たとえば焼肉を食べたいと考え始めると、
いつもより焼肉に関する情報が目に留まりやすくなります。
ネットやSNSで焼肉に関して検索したり、
焼肉のお店が目に入りやすかったりするのです。
つまり心を閉ざした部下についても、
カラーバス効果が影響を与えてしまいます。
先ほど解説した様に、
心を閉ざす背景にはネガティブな気持ちがあります。
一度心を閉ざし始めると、
カラーバス効果によってネガティブな情報を目に留めやすくなるのです。
「あれも無理だ」「これも上手くいかない」という様に、
心を閉ざした状態を自分で正当化してしまうのです。
部下が心を閉ざした状態を放置すると、
ますます心を閉ざす様になってしまいます。
これでは仕事に悪影響を与えますし、
周囲にも良い影響はありません。
部下が心を閉ざす「あるあるパターン」
「一体なぜ心を閉ざしてしまうのか?」
もちろん部下にも原因はありますが、
上司の言動がキッカケで部下が心を閉ざしてしまうケースがあります。
よくあるパターンとして2つ、紹介します。
上司も自覚なしに行っていることもあるので、
改めて振り返ってみてください。
高圧的に接する
部下をキツく叱ったり…
ダメ出しばかりしてしまったり…
必要以上に部下をいじったり…
上司が高圧的に接すれば、
部下は萎縮してしまいます。
こうした気持ちが渦巻き、
心を閉ざしてしまうのです。
ここでポイントになるのは、
高圧的な言動を取る人の中には、
自分が高圧的な言動を取っている自覚がないこともあるのです。
この様に思いながら振る舞うことで、
部下が心を閉ざす状況をエスカレートさせてしまいます。
つまり高圧的かどうかは、
自分が決めるのではなく周りが感じることなのです。
部下の仕事を取り上げる
今まで任せていた仕事を取り上げ、
別の部下に任せてしまうと、
部下はショックを受けてしまいます。
この様に思い、心を閉ざしてしまうのです。
とはいえ仕事を取り上げたということは、
多くの場合、上司が見切りをつけています。
この様な諦めの気持ちがあるからこそ、
仕事を取り上げるといった行動につながるのです。
「どうしてできないんだ!」
・高圧的に接する
・部下の仕事を取り上げる
心を閉ざしてしまう代表パターンを解説しましたが、
これらはあくまでキッカケでしかありません。
実際はそれ以前に、上司の中で不満や怒りが生じています。
たとえばこうした部下の問題行動が繰返された結果、
純粋な「怒り」が生じ、自分を抑えられなくなってしまうことがあるのです。
結果「どうしてできないんだ!」といった怒りが、
高圧的な態度や仕事の取り上げにつながってしまいます。
これは心理学で「学習性無力感」と呼ばれる現象で、
何度も繰り返し取り組んだのに、
期待した成果が得られず相手(部下)を変えられない時に起こる心のメカニズムです。
何度言っても部下が変わらないために、
「どうしてなんだ!」と上司の心の中で怒りが生じ、
結果として部下に高圧的な態度や仕事の取り上げを行ってしまうのです。
心を閉ざした部下とあなたの関係
「どれだけ頑張っても部下を変えることができなかった」
この様にコントロールできないことをコントロールしようとすると、
無理が生じ怒りや無力感にとらわれ自信を失ってしまいます。
「もう無理だ」といった無力感に襲われ、
無意識のうちに部下への風当たりを強くしてしまうのです。
ただし冷静に考えてみると、
仕事でもプライベートでも、相手を変えることはそもそもできません。
「私の思い通りに動いて欲しい」と相手が思っていても、
自分が100%相手の思い通りに動くとは限りません。
自分にも相手にも心があり違う人間だからこそ、
相手を変えようとするのは無理なのです。
むしろ相手を変えようとするほど、
ストレスが強まり相手との関係も悪化します。
「相手は変えられず、変えられるのは自分だけ」
この考え方は心理学では主流であり、
『嫌われる勇気』が流行した心理学者のアドラーも、
課題の介入という形でこの考え方を説明しています。
今回の場合で言えば、
部下を変えようとした結果ストレスがたまり、
高圧的な言動や仕事の取り上げにつながってしまいました。
一方で部下は心を閉ざしがちになり、
お互いの関係が悪化してしまったのです。
そして変えられないことを一生懸命変えようとしても、
現状が変わらないので自信も失ってしまいます。
自信のなさは行動・言動・態度に表れます。
上司の自信のなさが高圧的な態度や部下への諦めにつながり、
それを感じ取った部下も「自分はダメだ」と思いながら、
相手(上司)を否定したり心を閉ざすという反応が生じます。
上司は「相手はダメだ」と思い、
部下は「自分はダメだ」と思う。
そんな関係性ができあがってしまいます。
これこそ、心を閉ざした部下とあなたの周りで起こっていることの正体です。
どうすれば良いのか?
こうした相談を受けることも多いですが、
ここまでの話を踏まえると結論が見えてきます。
結局のところ、上司であるあなたがしたいことは、
部下を変えることではなく、この状況から抜け出したいということではないでしょうか?
心を閉ざした部下に悩む状況を抜け出したく、
部下を変えようと努力されたり、
部下の心理背景を知ろうとしてきたのだと思います。
ただし部下(相手)を変えることはできないので、
自分を変えたらいいということになります。
とはいえ、そもそもの発端は、
部下が言われたことをしなかったり、
態度を改めなかったりすることが根底にあります。
その場合、一体どうしたらいいのでしょうか?
次の記事で、ケースごとに具体的に解説をしてきます。
ケース2:何度指導しても同じミスをする部下とあなたに起こっていること
ケース3:若手社員が社会人としてありえない態度を取る理由・メカニズム
またどのケースにも共通して当てはまる、
部下との関わりに悩む上司が絶対知っておくべき心理背景も以下でまとめています。
◯:部下との関わりに悩む上司が絶対知っておくべき心理背景
そして私は本当に望む成果を出し続けるための秘訣を、
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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。