感情労働は疲れた!社員の心理背景とメンタルヘルス法

こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
今回は感情労働について取り上げます。
・接客業(飲食店、小売店など)
・コールセンターのオペレーター
・看護師や介護職
・金融機関の窓口
・教師や保育士
・クレーム対応部署の従業員
・行政の窓口
簡潔に言えばカスタマー対応業務に従事する仕事は、
感情労働と呼ばれています。
自分の感情をコントロールしながら仕事をする必要があるので、
感情労働と呼ばれています。
またクライアントの感情がぶつけられやすい仕事でもあるので、
感情労働と呼ばれています。
働く人とクライアントの双方の視点から、
感情労働という言葉が生まれたのです。
そして感情労働をする人の悩みは、
毎日の様に私のもとへ寄せられます。
仕事をするのが苦しくなり、
疲れやストレスを感じやすいのです。
最終的には休職や離職につながったり、
心身の健康を崩してしまうこともあります。
私も感情労働の業界でメンタルヘルス研修を実施したり、
最近ではカスハラ対策について企業から相談を受けることもあります。
今回は感情労働で悩む人の心理背景や原因、
そして苦しい状況を抜け出す方法を独自の視点で解説します。
感情労働がなぜ疲れるのか?
クライアントからの感情がモロに飛んでくるのが、
感情労働の多くで見られる特徴です。
しかも業界によっては、
対応し始めた段階からクライアントの感情の沸点が高いこともあります。
たとえばコールセンター。
お問い合わせの電話をしてもなかなかつながらなかったり、
たらい回しにされた経験が誰しも一度はあると思います。
「こっちは時間がないんだから…」
「長く待たせて不誠実だな…」
オペレーターにつながる前に、
クライアントは怒りや不満を溜め込んでいるのです。
そしていざオペレーターと話すと、
口調が強くなったり怒りをぶつけてしまうことがあるのです。
最近ではカスハラも話題になっていますが、
カスハラ的な言動を見せるクライアントも中にはいます。
マニュアルで対応はできるけど…
「クレームを受けた時にどう対応するのか?」
「どんな切り返しをすればいいのか?」
これらは事前に学んでいることが多いです。
入社時研修の中で学んだり、
専用のマニュアルが整備されていることが多いです。
確かにマニュアルで対応すれば、
その場を収めることはできます。
ですがクレームを受けた心の傷までは、
マニュアルで対応できません。
「何でキツく言われないといけないのか…」
「私の対応がマズかったのか…」
「周りは誰も助けてくれない…」
この様にネガティブな気持ちを心の中で溜め込んでしまうのです。
そしてネガティブな気持ちが蓄積すると、
限界を迎えて仕事が憂うつになってしまいます。
「私にはこの仕事が向いていないのでは…」
「もう働き続けるのが苦しい…」
「いっそのこと辞めてしまおうか…」
こうした心境から休職・離職が生まれるのです。
クレームはなくならない
もちろんマニュアルを整備するのも大切ですし、
組織的な対応方法を構築する必要もあります。
ですが一番大事なのは、実際にクレームを受ける社員のメンタルです。
社員のメンタルを守る対策をしなければ、
安心して働き続けることができないのです。
そして特に大事な視点として、
クレームはなくなりません。
どの時代においてもクレームは存在しましたし、
カスハラという言葉が生まれる前からカスハラ的な言動は存在しました。
つまりマニュアルや組織体制をどれだけ構築しても、
クレームを言う人がいなくならない以上、
社員の心のケアの方法を確立しないといけないのです。
この点を放置すれば休職や離職率の増加につながり、
仕事が回らなくなってしまうかもしれません。
たとえば感情労働の1つのコールセンター業界は、
入社1年以内のオペレーターの離職率が3割と言われています。
1年以内で3割のオペレーターが離職するのは、
数値としては非常に高いと言えます。
クライアントを変えることはできない
ここまで感情労働業界の背景を解説しましたが、
クライアントの行動を変えることはできません。
これは人間関係すべてに言えることですが、
相手を変えることはできないのです。
相手の行動をコントロールするのは無理ですし、
逆の立場で考えればイメージも湧くでしょう。
一方で自分の行動は自分次第で変えられます。
つまり感情労働で働く社員・スタッフの意識を、
彼ら自身に変えてもらう必要があるのです。
本音を話してくれない
悩んでいる社員の気持ちを引き出そうと、
上司が親身に話を聞くケースもあります。
それ自体は素晴らしいのですが、
「なかなか本音を話してくれない」という声も多いです。
「大丈夫です」としか言わないまま、
退職届をある日突然出してくる人もいます。
つまり相手が本音を話してくれるかわからないので、
上司が部下の話を聞くことが必ずしも解決策になりません。
メンタルヘルスには、セルフケアとラインケアがあります。
自分で自分の心を整える力がセルフケアで、
職場の管理監督者が部下のメンタルヘルスをサポートする取り組みがラインケアです。
まずセルフケアができる様になって、
その上で必要に応じてラインケアを行うのが、
メンタルヘルスで効果を発揮する順番です。
だからこそ感情労働に従事する社員やスタッフ自身が、
まず自分でメンタルを整えられる様になることが必要なのです。
そして会社としては、そのための機会を提供する必要もあります。
私は7000名以上のお客様と関わる中で、
社員が自力でメンタルを立て直す方法を体系化しました。
そしてその方法を企業での研修やコンサルティングでもお伝えしています。
日頃のクレーム等も含めメンタルが落ち込んだとしても、
長く引きずらずに済む方法です。
「クレームやトラブルに負けない社員のメンタルを作りたい」
「カスハラに悩む社員を減らしたい」
「社員の休職や離職を防ぎたい」
こうした依頼に対して、企業での研修やコンサルティングでサポートしています。
社員が自力でメンタルを立て直す方法
そこで今回は独自の視点から、
社員が自力でメンタルを立て直せる様になる方法を解説します。
これから紹介する2ステップを繰り返し実践することで、
カスハラやクレームを受けてもメンタル不調を引きずらなくなります。
私の研修の特徴として「社員のメンタルヘルスが自動化します」とお伝えしています。
社員それぞれが自力でメンタルを整えられるようになると、
結果的に日頃の仕事ぶりにも良い影響が生まれるので、
カスハラやクレームを未然に防げたり、必要以上に動揺しなくもなります。
自分で自分の気持ちを声に出す
まず最初のステップは、
自分で自分の気持ちを声に出すことです。
メンタルが落ち込んでいる人ほど、
自分の気持ちを声に出せていません。
声に出さず頭の中で考えているのです。
「理不尽なことを言われてしまった…」
「お客様の言動が怖かった…」
「カスハラやクレームがつらい…」
こうした気持ちを声に出しておらず、
頭の中でぐるぐる考えている状態です。
私たち人間の脳は頭の中で考えるほど、
ネガティブ思考が強まる習性があります。
一説では1日に頭の中で考える事柄の9割が、
ネガティブな内容とも言われています。
頭の中で考えネガティブ思考が強まると、
悩みが一気に飛躍してしまう傾向があります。
一度のミスやカスハラ・クレームによって、
「私はこの仕事が向いていないのでは?」と考えることもあるのです。
その結果として仕事が憂うつに感じ、
休職・離職へつながることもあります。
まず自分で自分の気持ちを声に出すことは、
社員がメンタル不調を立て直すために不可欠です。
「どうしたい?」と問いかける
そして自分の気持ちを声に出した後は、
「どうしたい?」と問いかけます。
「どうしたい?」の主語は自分自身です。
メンタルが落ち込んでいる時ほど、
自分を主語に問いかけていません。
自分以外の誰かや何かのことを、
先に考えているのです。
「した方がいい」
「するべきだ」
「しなきゃいけない」
「して欲しい」
「してあげる」
「してもらう」
たとえばこれらの言葉が浮かぶ人ほど、
自分以外の誰かや何かのことを先に考えています。
自分軸と他人軸という言葉がありますが、
他人軸で仕事をしている状態です。
他人軸なのでクライアントの影響を受けやすく、
いつまでもショックな気持ちを引きずります。
普段から「どうしたい?」と問いかけていると、
動揺する出来事があっても早くメンタルを立て直せます。
さらに言えば主体的に仕事ができるようになるので、
仕事の生産性やパフォーマンスも上がるのです。
大事なのは習慣化です
ここまで紹介した2ステップを、
普段の業務から意識して繰り返すことで、
社員が自力でメンタルを立て直せるようになります。
カスハラやクレームを受けても、
ショックを引きずらず気持ちを落ち着かせることができるのです。
感情労働の疲れに自力で対処できるので、
ストレスを溜め込むこともなくなります。
ただし大事なのは「習慣化」です。
一度や二度だけ実践するのではなく、
何度も繰り返し実践することで変化が生まれます。
私は企業での研修や講演会において、
2ステップを繰り返し実践するためのコツをお伝えしています。
「クレームやトラブルが発生した時のメンタルケア法を知りたい」
「カスハラ対策に悩んでいる」
「社員の休職や離職につながる事態は避けたい」
こうした課題があれば、
まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
既に大手企業などで研修を実施した実績もありますので、
現状の課題とゴールなどをお話できればと思います。
また私が研修・講演会時に何を話しているのかを、
『人事担当者のためのメンタル支援ハンドブック』にまとめました。
無料でダウンロードできますので、
こちらも必要に応じて参照してください。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者

伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。