つい残業してしまう管理職の心理背景【逆課金がオススメ】
こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
「管理職になったことで残業時間が増えている」
「やたら残業している管理職がいる」
管理職の残業については、
当人や経営者から相談が寄せられることが多いです。
管理職になったことで、
残業代がつかなくなる職場も多いです。
部下には「定時で上がれ」と言っているのに、
自分は平気で休日出勤をする管理職もいます。
残業を辞めたいと思う管理職もいれば、
「仕方ないよね」と諦める管理職もいます。
ですが現状を放置し続けるのは、
周囲へも悪影響を与えてしまいます。
私はこれまで2000名以上のお客様の相談に乗りましたが、
今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、
つい残業してしまう管理職の心理背景を解説します。
なぜ残業してしまうのか?
どれだけ残業しても残業代が付かないのに、
一体なぜ残業してしまうのか?
…実はこの質問に、管理職が残業する答えがあります。
どれだけ残業しても残業代が付かないからこそ、
残業をしてしまうのです。
管理職としての仕事が終わらなかったり、
与えられた仕事も多かったりと、
残業に傾く心理はいくらでもあります。
その上で、どれだけ残業しても残業代が付かないわけです。
この様な発想になるのです。
ある種の開き直りとも言えますし、
「仕方ないんだ」と諦めの心境を持つ管理職もいます。
実際私も管理職のお客様は多いですが、
積極的か消極的かは別として、
「会社に迷惑をかけていない」という声はよく聞きます。
平社員の時は残業代が会社のコストになるものの、
管理職であればコストにならないと考えているのです。
「管理職の残業は迷惑」という視点
「どうせ残業代は付かないから、会社に迷惑かけてないでしょ?」
この視点は正論の様に聞こえますが、
実は大きな見落としをしています。
実は管理職が残業することは、
会社に迷惑をかけているのです。
確かに残業代というコストはかかりませんが、
正確には会社にコストがかかっています。
たとえば管理職が残業することで、
電気ガス水道等の光熱費が余計にかかります。
夏や冬は冷暖房も稼働するわけですし、
これらもコストとして馬鹿になりません。
しかも休日出勤すれば、
その分だけコストがかかるわけです。
残業代だけがコストではありません。
管理職が残業することで、
会社に余計な経費を使わせているのです。
こうした声も時おり聞きますが、
管理職とは部下の「マネジメント」が仕事でもあります。
管理職自身が残業していれば、
「自分も残業して良いか」と部下に思わせてしまいます。
「私は残業するけど、みんなは残業してはいけない」
逆の立場になればわかりますが、
何の説得力もないのです。
部下の残業には手当が付くので、
これも会社としてはコストになります。
自分の仕事のマネジメントができていない
つまり残業して仕事を終わらせる管理職は、
会社にとってのお荷物になってしまいます。
管理職は「マネジメント」が仕事なのに、
自分の仕事のマネジメントができていないことになる。
また自身や部下に余計なコストを発生させており、
会社全体をマネジメント視点で見れていないのです。
この点に意外と気づいていない人は多いです。
もちろん管理職以前と比べて、
仕事内容や求められる成果も変わるでしょう。
ですが何より大事なのは、
「マネジメント」という視点を持つこと。
部下のマネジメントはもちろん、
自身のマネジメント能力も求められるのです。
基本的には、時間内で成果を出すことであり、
たとえ十分な成果が出なくても、
残業されるよりはマシとも考えられるのです。
「帰って良いよ?」と促す上司がいない
管理職になる前までは、
残業を抑制する上司がいました。
残業しようとする姿勢を見せても、
「帰って良いよ」と促す上司がいました。
やむを得ず残業するとしても、
時間を区切ってくれる上司がいたのです。
ですが自分が管理職になれば、
残業を止める上司はいません。
自身の裁量で仕事ができるからこそ、
つい残業に走りやすいのです。
残業を肯定する理由を作り出してしまいます。
さらに人によっては、
私生活の悩みを持ち込む人もいます。
家で夫婦関係が悪かったり、
子育てが面倒だと思っていれば、
「仕事」という理由で会社に居続けてしまいます。
残業を抑制する上司がいなければ、
私生活の理由も含め残業に走る人もいるのです。
どうすれば現状を変えられるのか?
つい残業してしまう管理職の心理背景を解説してきました。
もちろん私は管理職の残業を全否定する気はありません。
残業しなければいけない場面もありますし、
以前までと求められる成果が変わり責任も増えています。
ですが残業が常態化してしまえば、
自身や会社に悪影響を与えてしまいます。
ここを変えなければいけませんし、
実は残業してしまう管理職の方と話すと、
「本当は残業をやめたい」という声はよく聞きます。
もちろん中には悪質なケースもありますが、
ほとんどの場合、管理職自身も問題意識を抱いているのです。
「残業してしまう現状を変えたいけど、どうすれば良いかわからない」のです。
この記事をもし管理職の方が読んでいる場合、
これから紹介する解決策の実行を検討してみてください。
もちろん本人の同意があってこそですが、
私のお客様でも解決策を実行したことで、
残業時間が圧倒的に減ったり、
残業自体をなくせたケースもあります。
またもしこの記事を役員や経営者の方が読んでいた場合、
管理職を変えることはできないものの、
自身の姿勢を変えることで管理職の変化を促すことができます。
その意味でも、これから紹介する方法をチェックしてみてください。
逆課金制度を導入する
管理職は残業代が付かないと言いましたが、
この前提を崩してしまえば良いのです。
もちろん残業代を実際に付けることは、
社内規定の見直し等も含めて容易ではありません。
それに特定の管理職が残業しているなら、
大掛かりな見直しを行うのは手間です。
だからこそ私が管理職のお客様に提案するのは、
残業した分だけ自身のお金を貯金箱に入れること。
たとえば残業を1時間したら、
1000円を財布から貯金箱に入れるのです。
先ほどもお伝えした様に、
残業は会社のコストになります。
会社のコスト分を負担して残業するという認識を持つために、
給料から天引きされているイメージで、
自身の財布から貯金箱に入れるのです。
100圴などで売っている透明な貯金箱を用意して、
自身の机に置いておきます。
残業や休日出勤をしてしまったら、
1時間につき1000円を貯金箱に投入するのです。
透明な貯金箱を使えば、
どれだけ残業したかが可視化できます。
もちろんこれは強制できませんし、
あくまで管理職自身の納得のもと行う必要があります。
部下に宣言してみたり、
ゲーム感覚で取り組んでみると、
効果も発揮しやすくなります。
要するに、残業することの痛みを実感する必要があります。
残業代が付かないものの、
会社はコストという形で痛みを伴っています。
管理職の残業は自身にも痛みが伴うことを、
自身のお金が減ることで理解できれば、
管理職としての能力もアップします。
時間内で一定のパフォーマンスを示せたり、
自発的に創意工夫ができる様になります。
「お金が減る」という痛みを味わうことで、
「残業代つかないし残業してもいいか」という意識を改善するのです。
また管理職の仕事量が多ければ、
上にかけあうことも積極的にするでしょう。
このままだと残業してお金が飛んでいくから、
当事者意識を持って改革に取り組みます。
タイムマネジメント能力がアップし、
さらに仕事の成果も出る様になります。
貯金したお金の行く末
「貯金箱に入れたお金はどうなるのか?」
ここで多くの人が考えてしまうのが、
「せっかくなら誰かのために使おう」とすることです。
つい残業してしまう癖を改善したいなら、
これらは逆効果に働く可能性が高いです。
「貯金したお金を誰かのために使おうとしない」ことが大事です。
「誰かのために使う」という大義名分ができれば、
残業することが逃げになります。
こうした意識が出てくると、
つい残業しても良いかと思ってしまいます。
これでは効果が得られないのです。
特に最初は、
お金が減るのを実感することで、
残業を続けることへの痛みをリアルに実感するのが効果的です。
痛みを誰かへの貢献で中和させてはいけないのです。
それこそ貯めたお金は、
ゴミ箱へ捨ててしまうのも1つです。
捨ててしまえば、お金は誰の役にも立ちません。
一度だけでも良いです。
実際にお金を捨てることは、
ショックや動揺を生みます。
痛みを実感できるからこそ、
「もう残業しない」と決めやすくなります。
もちろん残業しないことが習慣化すれば、
その中でも残業してしまった場合に、
貯めたお金を周囲に還元するのはアリです。
ですが最初は残業癖を根本的に改善することがゴールなので、
誰かのために使おうという意識は排除することです。
大事なのは「習慣化」
もちろん私も強制はしませんし、
管理職の方自身の責任で行う必要があります。
ですが先ほどお伝えした方法を実践することで、
つい残業してしまう癖は改善できます。
残業するほど自分の時間も削られますし、
長い目で見ても良いことはありません。
そして何より大事なのが「習慣化」
一度だけ実践しても状況は変わりません。
先ほどもお伝えした様に、
つい残業する意識は癖になっています。
今までの悪い習慣を改め、
つい残業をしない習慣に変えていく必要があります。
ただし多くの人が行動を習慣化できず悩んでいます。
先ほどお伝えした方法を実践しようと思っても、
気づけば以前までの習慣に戻ってしまうのです。
「人はその日に学んだことの7割を忘れる」
これは私たち人間の記憶のメカニズムで、
エビングハウスの忘却曲線で証明されています。
だからこそ忘れにくくするためにも、
毎日意識しながら実践する必要があります。
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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。