若手社員が社会人としてありえない態度を取る理由・メカニズム
こんにちは、ビジネスメンタルトレーナーの伊庭和高です。
若手社員がありえない態度を取るという相談は、
経営者や管理職など上司の方からよく寄せられます。
放置していれば仕事に支障が出ますし、
周囲にも良い影響はありません。
一方でどう対応して良いかがわからず、
苛立ちをぶつけて関係を悪化させてしまうこともあるのです。
私はこれまで5000名以上のお客様の相談に乗りましたが、
今回は一般の見地とは異なる独自の視点で、
社会人としてありえない態度を取る若手社員の心理背景を解説します。
ありえない態度を取る若手社員の心理背景
置かれた状況によって多少の違いがありますが、
部下のありえない態度は以下の様なものです。
・上司の目を見て会話をしない
・挨拶をしても返事がない
・報連相をせず仕事を進めている
・上司の存在を無視する
・タメ口で話しかける
・仕事を無責任に投げ出す
・周りと関わろうとしない(距離を置き出す)
・やたら反論してくる
最初は部下の気持ちを理解しようと思っても、
ありえない態度が続けば苛立ちに変わります。
もちろん入社前からありえない態度を取るのが習慣だった人もいるでしょう。
ですが採用までに面接もしている以上、
そうしたケースは少数派です。
ありえない態度を取る若手社員の心理背景を解説していきます。
上司に反発している
この様に上司に反発していると、
態度がどんどん悪くなっていきます。
反論を伝えたり上司を無視したりと、
反発を態度で示す部下もいるでしょう。
あるいは態度にはそこまで現れなくとも、
心の中で反発している部下もいるでしょう。
その場では聞き分けが良く見えても、
指示されたことをやらなかったりと、
反発心がありえない言動につながります。
ここで大事なのは、ありえない態度を取る対象です。
「自分だけにありえない態度を取るのか?」
「それとも周囲にもありえない態度を取るのか?」
冷静に振り返ってみてください。
もし自分だけにありえない態度を取っている場合は、
自分と部下の二者間の問題だと言えます。
一方で周りにもあり得ない態度を取っている場合は、
職場にも何かしら問題があるかもしれません。
仕事のモチベーションが下がっている
仕事のモチベーションが下がっていれば、
部下の態度にも影響が出ます。
仕事にやりがいを感じられなかったり、
正当に評価されていると感じられなければ、
その分だけ適当な態度を取る様になります。
この場合、入社直後はやる気があったものの、
どこかでモチベーションが切れてしまったと考えられます。
上司との関係に原因があったり、
仕事内容や職場の人間関係に原因があるかもしれません。
もはや今の仕事がどうでも良くなっており、
異動や転職を水面化で検討している可能性もあります。
ありえない態度を取り始めた原因
ただし冷静に考えてみてください。
部下も最初からありえない態度を取っていたわけではないです。
ありえない態度を取り始めた原因が、
どこかに転がっているのです。
上司が自覚のない些細な出来事がキッカケで、
部下の態度に変化が生まれた可能性もあります。
「部下がありえない態度を取り始めたのは、いつからだろうか?」
まず振り返ってみてください。
そして振り返った時期に、
どんなことがあったのかを思い出してみてください。
大事な仕事を任せている途中だったり、
個別で関わる機会が多かったり、
部下と飲みに行ったりと、
何かしらの出来事が引き金になっている可能性もあります。
お互い自分が正しいと思い込む
この記事を読んでいる人の多くが、
「現状を何とかして好転したい」と思っているはずです。
さらにハッキリ言えば、
あり得ない態度を取る部下を変えたいと思っているはずです。
ここまでは部下の態度の心理背景や原因を見てきましたが、
現状が一向に好転しない場合、正常性バイアスの影響を受けている可能性があります。
心理学においては、
人は自分の行動を正しいと思い込もうとするとされています。
たとえ自分に落ち度があったり、
見落としている点があっても、
「この選択が正しい」と思い込もうとします。
結果として最初に出した判断を変えられず、
むしろこだわりすぎてしまうことがあるのです。
これは正常性バイアスと呼ばれていますが、
あなたと部下のそれぞれに正常性バイアスが働いている可能性があります。
この様に部下は自身の態度を正当化している状態です。
一方の上司も、自身の態度を正当化しています。
この様にお互いが自分を正当化している状況では、
相手に原因を求め続けてしまいます。
相手が変わらないことにイライラしたり、
相手の粗探しをしようとしてしまいます。
これではどれだけ頑張っても、
一向に状況が改善されないのです。
どうすれば現状を変えられるのか?
「では一体、どうすれば現状を変えられるのか?」
1つ大事なことは、
変えられるものと変えられないものを切り分けて考えることです。
どれだけ相手を変えようとしても、
相手のことを変えることはできません。
相手を思い通りに動かせていれば、
そもそも現時点で部下の態度は改まっているはずです。
「相手は変えられず、変えられるのは自分だけ」
この考え方は心理学では主流であり、
『嫌われる勇気』が流行した心理学者のアドラーも、
課題の介入という形でこの考え方を説明しています。
つまり部下の態度がありえない状況も、
自分自身が変わることで好転する可能性があるのです。
自分の在り方が変われば、
部下に見せる態度も変わります。
そんな自分の態度を見て、
部下の態度にも変化が生まれる可能性があるのです。
「では具体的にどうすれば、自分の在り方を変えられるのか?」
方法を解説します。
部下の具体的な行動を褒める
ありえない態度を取る部下のことは、
ついネガティブな目線で見てしまいます。
だからこそ部下も上司に対して、
「また何か指摘してくるんだろうな」と身構えてしまいます。
どんなにあり得ない態度を取る部下であっても、
何かしら褒められる点はあるでしょう。
今までネガティブな目線で見がちだったからこそ、
ポジティブな目線でも部下を見ていく必要があります。
これは中庸と呼ばれる状態であり、
バランスの取れた状態で部下と関わっていくことで現状は好転します。
ここでのポイントは「具体的に褒めること」
「いつも頑張ってるね」に様に抽象的な褒め方だと、
部下も何を褒められているかわかりません。
むしろ心がこもっていない様に思われ逆効果なのです。
「納期を守って質が良い成果物が出てくること」
「周囲に気を配って働けていること」
「自分なりに考えて仕事ができていること」
「指示したことは忠実にこなしてくれること」
どんな些細なことでも構いませんので、
具体的に褒められることを見つけてください。
そしてそれを直接、部下に伝えてください。
褒められたことで、部下の態度にも少しずつ変化が見られます。
「この上司は自分のことを見てくれている」と思うと、
次第に好意的な態度を示す様になります。
部下に感謝できることを伝える
先ほど紹介した方法は非常に効果的ですが、
「自分が取り組むにはハードルが高い」という声も聞きます。
褒める所がないと感じたり、
1回褒めても後が続かなかったりと、
途中で挫折してしまう人もいます。
そんな時には、部下に感謝の気持ちを伝えてください。
褒められることが浮かばなくても、
感謝できることは絞り出すことができます。
最近の研究では、感謝はお互いの幸福感を高める効果があると証明されています。
つまり感謝の気持ちを伝えるほど、
自分も相手も幸せな気持ちになりやすいのです。
相手に対するネガティブな気持ちよりも、
穏やかな、そして前向きな気持ちが生まれやすくなります。
ちなみに感謝の反対語は「当たり前」です。
当たり前だと思えば思うほど、
できていないことに意識が向く様になると言われています。
「仕事ができない」
「態度が悪い」
「ちゃんと働いていない」
この様にできていないことに意識が向くほど、
感謝の気持ちを忘れて関わってしまうのです。
感謝の気持ちを伝えることは、
より良い関係を築くヒケツでもあります。
部下の言動や仕事ぶりで感謝できることを、
何でも良いのでリストアップしてみましょう。
そして何かにつけて部下へ伝えていきましょう。
「おはよう。昨日はありがとう!おかげで仕事が順調に進んでいるよ」
たとえばこの様に、朝の挨拶に感謝を付け加えても良いです。
大事なのは「習慣化」
ここまでお伝えした方法を実践することで、
部下がありえない態度を取る状況は変えられます。
そして何より大事なのが「習慣化」
一度だけ実践しても状況は変わりません。
部下の態度がありえない状況は、
これまでの関わり方が習慣になっているからです。
今までの悪い習慣を改め、
部下の態度が改まる習慣に変えていく必要があります。
ただし多くの人が行動を習慣化できず悩んでいます。
先ほどお伝えした方法を実践しようと思っても、
気づけば以前までの習慣に戻ってしまうのです。
「人はその日に学んだことの7割を忘れる」
これは私たち人間の記憶のメカニズムで、
エビングハウスの忘却曲線で証明されています。
だからこそ忘れにくくするためにも、
毎日意識しながら実践する必要があります。
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本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
早稲田大学大学院卒。
教育理論や心理学を学ぶ中で100人にインタビューし、独自のメンタルトレーニング理論を確立。
卒業後は高校で世界史を教えるが、本当に伝えたいことはやはり心のケアであると気づき、2017年に株式会社マイルートプラスを起業し、8年で5,000人以上を指導。
2017年11月に株式会社マイルートプラスを設立。
役職や立場を問わず成果が出ることが評判を呼び、2020年4月に著書『ストレスフリー人間関係』を出版。
増刷しロングセラー中。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を出版。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページで特集されるなど、独自のメソッドに注目が集まっている。
「日本の元気は気持ちから!」をミッションにしている。
職場の人間関係や仕事の目標達成について、方法が体系立ててまとめられており、お客様の現状に合ったアプローチを取れることが強み。
また最近では企業研修を実施するなど、活動の幅を広げている。